かぐや姫の物語

先日初めてテレビ放送された高畑勲監督ジブリ作品アニメ「かぐや姫の物語」を観ました。これはすばらしい作品です。

宮崎駿監督の「風立ちぬ」にも言えることですが、ジブリアニメの二大監督はもうこれ以上ない領域に来てしまった印象です。やはり、引退はやむを得ないのかも知れません。

「かぐや姫の物語」は原作にほぼ忠実に作られた作品です。ストーリーを楽しむというより日本の自然の美しさ、わらべ歌などの表現を通じて竹取物語を解釈しています。

圧倒的だったのはかぐや姫が月へ連れて行かれる最期のシーンです。月からのお迎えはまさしく阿弥陀如来来迎図なのです。久石譲の「天人の音楽」も恐ろしくぴったりで、妙なる調べというものを見事に具現化しています。

月からお迎えが来る、ということの意味について高畑監督は文字通りあの世からのお迎えと描いています。かぐや姫という特別な存在だけではなく、誰にでも訪れるあの世からのお迎えのことです。

映画で何度も歌われる、まわれまわれの童歌（高畑勲作詞作曲）も輪廻転生を思わせる歌詞でかぐや姫は天界で誰かが歌っていた記憶があると言っています。前世、現世を思い出して懐かしむことが天界では罪のようで、罰として現世に送り出されたようです。
忘れがたい名シーンです。



高野山阿弥陀聖衆来迎図

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